烏賊下足屋台

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伊織順平という男


ペルソナ3というゲームを御存じだろうか。今から11年前にATLUSより発売されたPS2の傑作RPGだ。
普通の人には感知できない、午前0時より1時間だけ訪れる「影時間」
各々キャラクターは、自分の精神が具現化した「ペルソナ」を使い、現れるシャドウと呼ばれる敵と戦う。
そして影時間を消して元の平穏な世界を取り戻そう、というのがあらすじ。今見てもワクワクするストーリーだ。

私はこのゲームがリメイクされてPSPに移植されたときに手に取った。非常に遊びやすくなっており、テイストの追加こそあれど、
後にオリジナルをプレイしたが、全体的な空気感は保持されておりとても良いリメイクだった。
さて、今回のタイトルはこちらのゲームに出てくる「伊織順平」というキャラクターについてだ。
作中で主人公の親友となり、ともに敵と戦う心強い仲間でもある。
この男、ペルソナ使いという特異な体質でありながら、普通の高校生なのだ。
お調子者で少し乱暴な面もあるが、それらは彼の根にある優しさからくるもので、大手財閥の一人娘や両親を幼いころに無くしていたりといった
ある種濃いキャラぞろいの本作ではかえって目立つ普通の高校生という存在だ。
そんな彼だが、それぞれキャラが戦う覚悟や理由を見出す序盤~中盤にかけて、この男もまた戦う・生きる理由を問われる。
それまで空っぽだった人生に、「影時間で仲間と共にシャドウを倒す」という行為が、充実していると認識している、と指摘される。
全く熱中できるようなものもなく、荒んだ心を喧嘩で誤魔化すような生活だった彼にとってこんな非日常で仲間と共に戦う時間が、
たとえ命がけであったとしても、とても大切な時間だったのだ。
そこでこの男は大いに悩む。割り切っているわけでもない。覚悟が決まっているわけでもない。死ぬのは怖いがまたあの荒んだ日々に戻るのも嫌だ。
また同時期に彼は一人の少女と出会い、そして彼女別れを短期間に体験することになる。(詳しくは本編をやるなり調べるなりしてほしい)
それらを経て一回りも二回りも人間として成長していく姿は、本作でも屈指の名場面メイカーだ。
本作は主人公がかなり達観した性格で、周囲の人間も、高校生にしては(特有の不安定さや脆さはあっても)完成された精神の持ち主だった。その中で
先にも書いた通り、等身大の高校生が非日常に飛び込んだ、というのが伊織順平という男なのだ。

冗長になってしまったが、ここまで読んでいただけたら嬉しい限り。好きなんだ順平が。


ちなみに、移植作では女主人公を選べる。当然順平も攻略対象なのだが、ここでは「女の子にイイカッコ見せたい」という、
これもまた等身大の彼が描かれており、こちらも必見であることを加筆しておく。


祝、漫画版ペルソナ3完結(この間やっと最終巻読みました)

 

 

それでは。